くらしの中の電波

総務省「生体電磁環境研究推進委員会」の見解

総務省

総務省は、「生体電磁環境研究推進委員会」を設置し、1997年から10年間にわたり、動物実験、疫学調査等による生体の安全性評価等に関する研究を推進し、2007年4月にWHOでのこれまでの研究成果も含めた生体への安全性評価等に関する研究の最終報告※1としてまとめ、「わが国をはじめ国際的な専門機関では、電波防護指針値を下回る強さの電波によって非熱効果を含めて健康に悪影響を及ぼすという確固たる証拠は認められない」と発表しました。報告要旨については、次のとおりです。
 ※1 http://www.tele.soumu.go.jp/j/sys/ele/com/protect/

1.社会的に関心のある事項への考え方

社会的に関心のある事項への考え方を以下のとおり整理致しました。

(1)子どもへの影響

1)現状の電波防護指針は子どもも含むあらゆる人々を対象としており、指針値は妥当である。直ちに改訂する必要はない。

2)WHOの提言に基づき、子どもに関する各種研究の実施を今後も継続して検討していくことが必要である。

(2)電波の長期間ばく露の影響について

1)長期間の電波ばく露により脳腫瘍の発生に及ぼす影響は認められないことを確認した。

2)国際協調を図るため、携帯電話端末の長期間使用に関する疫学研究の実施に向 けた検討を図る。

(3)電磁過敏症について

1)WHOの見解では、電磁過敏症の症状が電磁界ばく露と関連するような科学的根拠はない。

2)間違った情報の氾濫を防ぐため、科学的根拠に基づいた正しい情報の周知広報の強化が必要である。

(4)予防原則に対する考え方

  WHOの見解と同様に、現状の電波防護指針は予防的措置として十分妥当である。

(5)電波防護指針について

1)現状の電波防護指針は適当であり、直ちに改訂の必要はない。

2)今後、科学技術の進展により電波の利用形態が変化することを考慮し、国際動向や各種研究結果を踏まえながら必要に応じ、国際ガイドラインの改訂、電波防護指針の見直しの必要性について検討することが重要である。

(6)リスクコミュニケーションについて

1)総務省主催で、行政及び専門家から国民や事業者に向けた講演会を実施してきたところである。

2)引き続き講演会等により、国民に対し電波の正しい知識の普及に努めることが重要である。

2.電波の安全性に関する見解

電波の安全性に関する見解は以下のとおりです。


(1)電波の人体への影響については、我が国をはじめ、世界各国で50年以上に及ぶ研究成果が蓄積されてきており、これらの膨大な科学的知見に基づいて、電波の健康影響の閾値に十分な安全率を見込んだ電波防護指針が策定されている。

(2)近年、携帯電話の急激な普及を背景として、電波による健康影響に関して国民の関心が高まっているが、我が国をはじめ国際的な専門機関では、電波防護指針値を下回る強さの電波によって健康に悪影響を及ぼすという確固たる証拠は認められないとの認識で一致している。

(3)一方、電波防護指針値以下の低レベルの電波が人体に影響を与える可能性があるとの報告が一部にはあるが、これらの研究は必ずしも実験条件等が適切ではないといった問題が指摘されており、このような研究成果は、本来、再現性の確認等を経てから安全性評価のデータとして取り扱われるべきものである。しかしながら、正確な情報提供が必ずしも十分でないことが、国民の漠然とした不安を招く要因となっている。

(4)本委員会は、世界保健機関(WHO)における国際電磁界プロジェクトと協調しながら、医学・生物学の専門家と高精度なばく露評価を行う工学の専門家による密接な連携の下で、公正かつ中立的に研究を行っている。本委員会におけるこれまでの10年間の研究の成果では、いずれも携帯電話基地局及び携帯電話からの電波が人体に影響を及ぼさないことを示している他、過去に影響があると報告された結果について生物・医学/工学的な手法を改善した実験においては、いずれも影響がないという結果を得ている

(5)したがって、本委員会は、現時点では電波防護指針値を超えない強さの電波により、非熱効果を含めて健康に悪影響を及ぼすという確固たる証拠は認められないと考える。


総務省は、国民が安心して安全に電波を利用できる社会を構築するため、電波による人体への影響に関する研究を促進するとともに、電波防護指針の評価・検討を行うことを目的として、2008年6月より「生体電磁環境に関する検討会」を開催しています。

http://www.tele.soumu.go.jp/j/sys/ele/com/system/index.htm