電波の伝播

電波・電磁波が空間をどのように伝搬するか・・その模様は、マックスウェル方程式を使ってコンピューターで計算しアニメーション動画を作成することで見ることが出来ます。

ここでは幾つか代表的な事例を示します。詳細な説明については、参考文献*1をご参照下さい(各動画は、同書の図2-6、図2-10、図2-11、図2-15に対応しています)。

*1 「電波と生体安全性‐基礎理論から実験評価・防護指針まで‐」、2019初版、野島俊雄・大西輝夫著、電波産業会電磁環境委員会編、科学情報出版株式会社。

二導体線路の電磁界と電磁波

レッフェル線とも呼ばれる二導体線路に高周波電流を流すと、その周囲に時間変化する電磁界が発生します。その電界強度の変化の様子を下図に示します。変化には二つのタイプがあり、一つは線路の電流に繋がった電磁界、そしてもう一つは線路の端にある波源および負荷の不連続点から放射する電磁波です。前者は線路に沿って左から右に流れ、後者は中心から外に向かって円状に放射することが分かります。前者は電流が無くなれば消失しますが、後者は電流が無くなっても空間に光速度で拡がりながら存在し続けることになります。Hertzは前者を「電気波」、そして後者を「空間を伝わる電磁波」と呼びました。詳細については参考文献(図2-6)をご参照下さい。なお周波数は5GHzとしています。


評価モデル



図2-6


ダイポールアンテナからの電波

半波長ダイポールアンテナと呼ばれる基本的なアンテナから放射される電波の電界強度変化(周波数1.5GHz)を下図に示します。携帯電話などの無線機を初め様々な電波利用機器にダイポールアンテナが利用されるので、それらからの電波放射の様子も近似的にはこれと同様となります。なお磁界の変化はアンテナから離れた空間ではこの図と同様ですが、詳細については参考文献(図2-10(1))をご参照下さい。


図2-10(1)


ホーンアンテナからの電波

ダイポールアンテナ以外の基本アンテナにホーンアンテナがあり、マイクロ波より高い周波数帯で広く使われます。この図は、標準ホーンアンテナから放射される電波(周波数5GHz)の電界強度の様子を示します。また矢印はポインチングベクトルと呼ばれる電磁エネルギーが流れる方向を示します。電界強度と同様にアンテナの前面から外(右側)に向かって集中することが分かります。懐中電灯の光と同様の振舞いです。詳細については参考文献(図2-11)をご参照下さい。


図2-11


多重反射環境での電波の様子

エレベータ内など、金属壁で周囲を囲まれたような多重反射環境における電界強度(図2-15(1))を、自由空間の場合(図2-15(2))と比較して示します。自由空間とは金属などの電波を反射する壁や物体が無い環境条件です。人体左側頭部に置かれた携帯電話から電波が発射されているモデルで計算しています(周波数900MHz)。右図において、人体から離れた所に強い電界強度(黄色の部分)が散在しますが、白色で表示される携帯電話のアンテナ直近より強くなることはありません。詳細については参考文献(図2-15)をご参照下さい。


図2-15(1)


図2-15(2)