日本の電波防護指針は、国際的基準と比べて緩いのでは?

WHOは、国際非電離放射線防護委員会(ICNIRP)と米国電気電子学会(IEEE)のガイドラインを国際的ガイドラインと位置付けています。

ICNIRPは、疫学、生物学、電気工学などの専門家からなる非政府組織であり、中立的立場で科学文献を評価してガイドライン(0Hzから300GHzまで)を1998年に制定しました。このガイドラインの無線周波(radiofrequency: RF、100kHzから300GHzまで)の領域については、2020年に改定されました*1。IEEEは、電気・情報工学分野の学術研究団体で、関連技術の標準化等を行っています。1982年にガイドラインを策定して以降定期的に改定を行っており、直近では2019年に最新版を公開しました(0Hzから300GHz)*2

日本では、平成2年(1990年)に郵政省(当時)が最初の電波防護指針を制定する際に、非熱効果を含めてそれまでのほとんどの科学的文献を参考にし、内容の信頼性について検討し、電波に関連して予想される問題を広く考慮して、当時としてはどの国よりもよく整備された基準を制定しました。その後も総務省が、ICNIRPガイドラインや海外の電波防護規制・基準、ならびに新たな通信技術に関する国際規格制定の動向等について常に注視し、電波防護指針を随時更新しています。直近では、最新の研究動向等を踏まえ、平成30年に6GHzを超える高周波領域について、電波防護指針が改定されました*3。改定後の電波防護指針は、ICNIRPガイドライン改訂版*1やIEEEガイドライン最新版*2とほぼ等しい内容になっています。



*1 RF EMF Guidelines 2020(ICNIRP Guidelines on Limiting Exposure to Electromagnetic Fields (100 kHz to 300 GHz))

https://www.icnirp.org/

*2 IEEE Standard for Safety Levels with Respect to Human Exposure to Electric, Magnetic, and Electromagnetic Fields, 0 Hz to 300 GHz, 2019.

https://www.icnirp.org/

*3 総務省 電波利用ホームページ「電波防護のための基準の制度化(関係法令)

https://www.tele.soumu.go.jp/j/sys/ele/medical/system/