【2000-3】電波の頭部局所ばく露による脳細胞の遺伝子障害性に関する研究─局所ばく露装置の開発と評価

研究目的

電波産業会では携帯電話の電波と脳腫瘍の関連性について動物実験により検討を行うことを計画しています。この動物実験においてはマウスを使用することを予定していますが、これまでの電波ばく露装置ではマウスなどの小動物に電波をばく露した際、マウス全体に電波がばく露されるため、携帯電話の人体に対する局所ばく露を模擬できないという問題点がありました。

本研究では携帯電話の人体に対する局所ばく露をマウス実験において模擬するため、マウスの頭部のみ所定の局所ばく露が可能なばく露装置の開発を目的としました。

ばく露装置設計目標

本研究で開発するばく露装置の設計目標は下記の通りとしました。

マウス脳平均SAR値:2 W/kg

マウス全身平均SAR値:0.4 W/kg

局所ばく露比:5倍以上

研究結果

上記設計目標を達成するため、短縮モノポールアンテナとマウス拘束ホルダに磁性吸収材を用いたことにより、全身平均SARを生体閾値以下に押さえつつ、脳組織に対して全身平均SARの7.4倍の局所ばく露比を実現できました。

本研究から派生した論文

Wang J, Fujiwara O. A novel exposure setup for small animals locally exposed to near fields for biological effect of cellular telephones. IEICE Trans Commun. 2001;E84-B(11):3050-9.