植込み型心臓ペースメーカ等への電波の影響はどうなっているのか?

ペースメーカ等は高度な電子機器で電磁波対策を施していますが、信号源に乗ってくるノイズの除去には限界があり、動作してほしくない動作をする可能性があります。ペースメーカやICD(植込み型除細動器)をご使用の方に向けて、一般社団法人日本不整脈デバイス工業会では、各種電波利用機器の利用あるいは機器近傍における注意事項を示していますので、それらの注意事項を守ってください*1

また、総務省では「各種電波利用機器の電波が植込み型医療機器へ及ぼす影響を防止するための指針」*2を公表していますので、ご確認ください。


*1 一般社団法人日本不整脈デバイス工業会

https://www.jadia.or.jp/

*2 総務省「各種電波利用機器の電波が植込み型医療機器等へ及ぼす影響を防止するための指針」

https://www.tele.soumu.go.jp/j/sys/ele/medical/chis/


以下、スマートフォン・携帯電話に関する注意事項および指針の内容を紹介します。

植込み型医療機器を装着されている方へ

植込み型心臓ペースメーカや植込み型除細動器をお使いの場合は、装着部分からスマートフォン・携帯電話を15cm以上離して携行および使用してください。通話をする場合は医療機器装着部位と反対側の耳に当てて会話することをおすすめします。

植込み型医療機器装着者への配慮について

身動きが自由に取れないほど混雑した状況等、付近に植込み型心臓ペースメーカーや植込み型除細動器を装着している方がいる可能性があり、スマートフォン・携帯電話と植込み型医療機器の装着部位が15cm程度の離隔距離を確保できない恐れがある場合には、事前にスマートフォン・携帯電話端末が電波を発射しない状態に切り替えましょう。

医療機器への影響に対する指針

『医用電気機器への電波の影響を防止するための携帯電話端末等の使用に関する指針(電波環境協議会(旧不要電波問題対策協議会)1997年4月)』が実験に基づいて示されています。

また、国(総務省)が各種の電波利用機器から発射される電波が植込み型医療機器へ及ぼす影響について調査を実施し、調査の結果を基に各種電波利用機器の電波が植込み型医療機器へ及ぼす影響を防止するための指針として取りまとめ、必要に応じて見直しを行っています。

携帯電話基地局、PHS基地局や放送タワーから発射された電波は、医療機器や家庭用電化製品に届くまでに微弱となるため、医療施設内等を除いては日本では指針等は設けられていません。

なお、電波による影響を受ける機器は、他の電気機器から発せられる妨害波の影響を受けにくくすること、また電波を発する機器は、他の機器に対して妨害波による影響を与えにくくすることで、機器がお互いに共存できる環境をつくる取り組みが長年にわたり続けられています。