調査研究レポート

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【1999-1-4】1.5GHzの携帯電話電波へのばく露がマウスの皮膚に化学物質で誘発させた発がんに及ぼす影響についての研究

目的

携帯電話使用に伴い、電波が耳や頭部の皮膚に直接影響を及ぼすと考えられることから、本研究では、PDC方式携帯電話の1.5GHz電波への近傍界ばく露が、マウスの皮膚における発がんに及ぼす影響を検討することを目的としました。

方法

CD-1系統の雌のマウス(10週齢)の背中の毛を剃った皮膚に、発がん物質の一種である7,12-ジメチルベンゾ[a]アントラセン(DMBA)を塗布しました。1週間後に、マウスを4グループに分け、それぞれ電波ばく露群(48匹)、偽ばく露群(48匹)、陽性対照として発がん促進物質の一種である12-O-テトラデカノイルフォルボール-13-アセテート(TPA)投与群(30匹)、TPA非投与対照群(30匹)としました。電波ばく露群及び偽ばく露群は、1匹ずつプラスチック製のシリンダーに固定した状態で、PDC方式の携帯電話に用いられている1.49GHzのTDMA信号(50パルス/秒、デューティ比33%)を、モノポールアンテナから皮膚に照射しました。皮膚の比吸収率(SAR)の局所ピーク値2.0W/kg、全身平均SAR0.084W/kgの電波に、90分/日、5日/週、19週にわたって近傍界でばく露または偽ばく露させました。全てのマウスについて、皮膚がんの検査及び体重測定を週1回実施しました。20週目に実験を終了し、皮膚がんの組織病理学的分析を実施しました。

結果

電波ばく露群、偽ばく露群、TPA投与群、TPA非投与対照群における皮膚がん発症率は、それぞれ0/48(0%)、0/48(0%)、29/30(96.6%)、1/30(3.3%)でした。実験終了時、TPA投与群のマウスには1匹あたり18.8個の腫瘍が観察されましたが、電波ばく露群及び偽ばく露群には全く見られませんでした。表皮の厚さについても、電波ばく露群、偽ばく露群、TPA投与群の間に有意差は見られませんでした。

結論

本実験条件では、1.5GHzの携帯電話電波への近傍界ばく露が、DMBAで誘発したマウス皮膚がんを促進する作用は示されませんでした。

出典

Imaida K, Kuzutani K, Wang J, Fujiwara O, Ogiso T, Kato K, Shirai T. Lack of promotion of 7,12-dimethylbenz[a]anthracene-initiated mouse skin carcinogenesis by 1.5 GHz electromagnetic near fields. Carcinogenesis. 2001 Nov;22(11):1837-41. 
http://www.ncbi.nlm.nih.gov/pubmed/11698347

WHO研究データベース

http://www.who.int/peh-emf/research/database/emfstudies/IEEEviewstudy.cfm?accessionNo=2153