【2005-1】携帯電話電波の脳血流に与える影響に関する再現実験
研究目的
携帯電話の電波が脳血流に及ぼす影響については、PET(Positron Emission Tomography)を用いた脳血流測定にて研究されています。ヨーロッパのグループの報告では、携帯電話の電波により脳血流が上がるという結果と下がるという結果が出されており、一貫性がありませんでした。そこで本研究では日本の携帯電話の電波を用い、PETによる脳血流測定法を用いて、携帯電話から発生する電波がヒト脳血流に与える影響を検討しました。
研究内容
健康な男性ボランティア被験者9人を対象に、1,950MHz W-CDMA携帯電話電波(平均SAR=2.02W/kg、ピークSAR4.4W/kg)への30分間のばく露または偽ばく露の前後及び最中に2回ずつ、10分間隔でPET画像を撮影し、脳血流への影響を調べました。実験デザインは、ばく露の真偽を被験者に知らせない単盲検法としました。各被験者は、先に行った実験による何らかの影響が残ることを避けるため、最低1週間をおいてばく露と偽ばく露の両方の実験を受けました。
研究結果
ばく露前と比較して、W-CDMA携帯電話電波へのばく露の最中及びばく露後に、ヒト脳血流の有意な変化は認められませんでした。
本研究から派生した論文
Mizuno Y, Moriguchi Y, Hikage T, Terao Y, Ohnishi T, Nojima T, Ugawa Y. Effects of W-CDMA 1950 MHz EMF emitted by mobile phones on regional cerebral blood flow in humans. Bioelectromagnetics. 2009 Oct;30(7):536-44. http://www.ncbi.nlm.nih.gov/pubmed/19475648