【2012-1】国内における電波リスク認知調査1

研究目的

携帯電話等の発する電波の安全性あるいは健康不安について、曖昧な情報が報道されている現状があります。このような状況の中、一般の方々が電波についてどのような知識を持ち、そのリスクをどのように考え、どのような情報を求めているのかを明らかにします。より効果的なリスクコミュニケーションの在り方の考える上での参考情報とします。

研究方法

郵送調査(全国の満20歳以上の男女2,800名、有効回答数:724)とインターネット調査(全国の満20歳以上の男女31,047名に対して2,000名の回答)を行いました。携帯電話の利用頻度・有用性、携帯電話の電波に関する知識、リスク、情報源、健康影響の評価、リスクに対する評価や不安、対策、健康影響と有用性の比較評価などを調査しました。

研究結果

①携帯の利用頻度:あまり高くないが有用性の評価は高い。

②電波に関する知識:あまり持っていない人が多い。情報源はおもにテレビや新聞、ネットのニュース。

③電波のリスクについて:関心は低くないが、主観的なリスク評価はあまり高くない。不安を感じている人も多くない。

④電波による健康影響:がんやアレルギーよりも妊婦や子どもへの影響、頭痛や不快感を心配する回答が多い。

⑤携帯電話を利用する際の対策:何もしていない人が最多。

⑥現在の情報提供:多くが十分ではないとしている。

⑦IARC発表:知られていない。今後のWHO評価への関心が高い。

⑧基地局に対する不安や恐怖は高くないが、設置の賛否については「賛成」(1割程度)より「反対」がやや多い(3割程度)。

関連調査

同様の調査を、2017年度にも実施しています。

派生した論文等

・増地、携帯電話の電波の健康リスクに対する認知と関連要因、日本リスク研究学会第26回年次大会, 2013.

・Masuchi A, Risk perceptions of mobile communication in Japan. BioEM 2014, 36th Annual Meeting of THE BIOELECTROMAGNETICS SOCIETY, PA-97, Cape Town South Africa, June 8-13, 2014.