調査研究レポート

【2016-1】携帯電話の電波が脳波に及ぼす影響についての研究(~2017年3月)

研究目的

携帯電話での通話は耳に当てて行うことが多いことから、脳波に影響を与えるのではないかとの主張があり、検討されてきています。第2世代移動通信システムの電波については、安静時の脳波のうちα波のパワースペクトラムを変化させたとする報告と、影響がないとする報告が混在していました。第3世代移動通信システムの電波については、影響がないとする報告が主でした。3.9世代の携帯電話システムであるLTEシステム(Long Term Evolution) については研究報告がないため、LTEに相当する電波を用いて脳波への影響の有無について検証することにしました。

研究方法

研究内容およびその意義を十分に理解できる20歳~40歳の成人男女を対象としました。被験者には2日に分けて実験に参加していただき、2日とも携帯電話・PHSの使用制限や嗜好品の摂取制限により、ほぼ同じ条件となるように留意しています。電波ばく露と脳波測定は、専用の電磁シールドルームで実施しました。被験者には128ch脳波電極と電波ばく露用のアンテナを装着してもらい、脳波測定を行いながらLTE方式の電波を、1950MHz、SAR:2W/kg、ばく露時間:30分の条件とし、ばく露を行いました。ただし、実際に電波を出している場合と出していない場合をコンピュータでランダムに設定し、どちらの状態であったのか被験者にも実験者にもわからないようにしてデータを取得しています。データ解析は実験者とは別の者が行い、電波のばく露状態についてはデータ解析終了まで秘匿しました。

研究結果

男性18名、女性16名について、データ解析を行いました。LTEに相当する電波が脳波のパワースペクトラムに与える影響を調べた結果、実ばく露と偽ばく露に有意差は認められませんでした。すなわち、電波ばく露が脳波に有意な影響は与えていなかったことがわかりました。

派生した論文等

・Nakatani-Enomoto S, Yamazaki M, Enomoto H, Ugawa Y, Effects of electromagnetic fields from Long Term Evolution on awak electroencephalogram in healthy humans. BioEM 2018, The Joint Annual Meeting of The Bioelectromagnetics Society and the European Bioelectromagnetics Association, PB-88, Piran, Slovenia, June 25-29, 2018.