【2019-1】LTE(Long Term Evolution)がヒトの聴覚事象関連電位に与える影響の研究

研究目的

刺激に対する脳の反応である事象関連電位(event related potential, ERP)や反応時間(reaction time, RT)は認知症と関連があることが知られています。音刺激を用いて、携帯電話の規格の一つであるLTE(Long Term Evolution)がこれらの生理的機能に影響を与えるか否かを検証しました。

研究方法

45歳以上70歳未満の健康な成人男女に研究に参加していただきました。参加者には、簡易型知能検査(日本語版Mini-Mental State Examination, MMSE)およびパーソナルコンピューターを用いたミネソタ多面人格テスト(Minnesota multiphasic personality inventory, MMPI, MN, USA)に回答していただき、認知症や心理面での問題点がないことを事前に確認しました。電波ばく露、音刺激に対するERPおよびRTの測定は、専用の電磁シールドルームで実施しました。実際に電波を出している場合と出していない場合をコンピュータでランダムに設定し、どちらの状態であったのか被験者にも実験者にもわからないようにしてデータを取得しています。データ解析は実験者とは別の者が行い、電波のばく露状態についてはデータ解析終了まで秘匿しました。

研究結果

男性10名、女性17名について、データ解析を行いました。ERPの複数の波形成分について解析した結果、電波の実ばく露と偽ばく露について音刺激前後で有意差はありませんでした。RTについても同様に有意差はありませんでした。