【1999-4】携帯電話電磁場のヒト中枢神経への影響に関する研究─局所ばく露装置の開発と評価─

研究目的

世界保健機関(World Health Organization; WHO)は、携帯電話を人体の近傍で使用した場合の人体への影響について、電波ばく露量を高精度に制御した動物実験について更なる研究を勧告しています。

電波産業会では電波の生体影響試験の一環として1.5 GHz帯のデジタル携帯電話の電波が直接作用する皮膚の発がん性促進試験をマウスを用いた動物実験により計画しています。この実験においては携帯電話の人体に対する局所ばく露の熱的生体影響と等価なばく露を、ラットやマウスなどの小動物に実現する必要があります。

本研究では電波ばく露による動物実験において、問題となるマウス全身の温度上昇を全身閾値以下に抑え、標的組織の皮膚において高いレベルの局所ばく露を可能とするばく露装置の開発を目的としました。

研究結果

電波ばく露のためのアンテナに容量性ローディング1/8波長モノポールアンテナを採用することで、マウス全身の温度上昇を全身閾値以下に抑え、標的組織の皮膚において2 W/kgの局所SAR、マウス全身の平均SARで0.08 W/kgを実現可能な装置を開発しました。開発した装置についてはFDTD法による数値解析およびファントム実験による評価を実施し、局所ばく露装置としての妥当性とドシメトリ評価における高い信頼性を有するものであります。

本研究から派生した論文

Wang J, Fujiwara O. A novel exposure setup for small animals locally exposed to near fields for biological effect of cellular telephones. IEICE Trans Commun. 2001;E84-B(11):3050-9.


Wang J, Fujiwara O. Realizing highly localized exposure in small animal with absorbing material covered holder to test biological effects of 1.5 GHz cellular telephones. IEICE Trans Commun. 2003;E86-B(5):1660-5.