脳内アミロイドβ沈着への携帯電話周波数帯の電波ばく露影響調査
研究目的
LTE信号のばく露が、脳内アミロイドβ沈着に影響するかを細胞実験で調査しました。脳内アミロイドβ沈着はアルツハイマー病の進行に関連することが知られていますが、一部文献において、電波ばく露により脳内アミロイドβ沈着の改善効果が報告されています。これらが高周波電磁界と関係があるか否かを調べました
研究方法
SH-SY5Y細胞へのアミロイド前駆たんぱく質発現遺伝子の定常的導入、シトクロムc酸化酵素活性評価によるミトコンドリア活性評価、Western Blotting法によるアミロイド凝集評価を実施しました。
スウェーデン型変異を持つアミロイド前駆たんぱく質をコードする遺伝子を導入したSH-SY5Y細胞を十分量確保し、高周波数帯電磁波ばく露実験を実施しました。高周波数帯電磁波ばく露実験は、連続波(LTE1)と、3種類のデューティ比の異なるパルス波(LET2、LET3、LET4)に関し、繰り返し3または4回実施しました。高周波電磁波ばく露影響は、シトクロムc酸化酵素活性を測定することによるミトコンドリア活性の評価、Western Blotting法によるアミロイドβ凝集の評価、チオフラビンT染色によるアミロイドβ凝集の評価によって行いました。
研究結果
シトクロムc酸化酵素活性測定によるミトコンドリア活性の評価においては、いずれの高周波数帯電磁波波形においてもばく露影響は確認されませんでした。Western Blotting法は、80 kDaのバンドを確認することは出来ませんでしたが、ラダー状のバンドのうち高分子量である35 kDaのバンドに関して定量したところ、いずれの高周波数帯電磁波波形においてもばく露影響は確認されませんでした。チオフラビンTによる染色は、今回の実験系では十分な情報が得られませんでした。
以上の結果から、熱作用がないと考えられているSAR(2 W/kg)の高周波数帯電磁波ばく露は、培養神経細胞のミトコンドリア活性、アミロイドβオリゴマー凝集に影響を与えないと考えられます。

